私が見たものはなんだったのでしょう?
あれは数年前の、大晦日に近い夕方のことでした。その日は日曜日だったため小学生の子供たちも含め家族全員が家でくつろいでいましたが、夕方になり外も暗くなって
きたため、妻がリビングのシャッターを閉めようとした時でした。
外を見ていた妻が突然「お父さん、ちょっと、アレ何かしら?」と叫ぶのです。そばにいた子供たちと 妻のそばに駆け寄り、あわてて外を見ながら「アレって何のこと?
どこ、どこ?」と尋ねると、妻はなんと空の上を指さし、「ほらあれ、あれ」と、心なしか興奮気味に 叫んでいます。
空を見上げたのですが、薄暗い空には何も見えず、大晦日に近い季節にしては生暖かい風が、部屋の中を吹き抜けていきます。
「なんだよ、何も見えない じゃないか」。と不満げに言うと、妻はまだ興奮冷めやらぬ口調で「ほら、あそこ。
雲の裏側を何か大きな光るものが動いてる」。
と頭上を指さして言うのです。そして、
その妻の指さす先には、確かに雲の裏側を大きく光るものがゆっくり移動しているのがわかります。
最初は雲に遮られてよくわからなかったのですが、確かに雲の内側を 楕円形をした横に細長いものがゆっくりと動いていきます。
「う~ん。確かになにかが動いてるねえ。月だったら丸いけど、あれは細長い楕円形をしたものだよねえ。
何だろうねえ。」子供たちも「ねえ、UF0じゃないの?」と、興味深げに訊いてきます。
確かにそう言われてみれば、いつかテレビのUF0番組でやっていた「葉巻型
母船」とそっくりのようにも思えます。
しばらく、時間にして10分ほどでしょうか、皆で見ながら騒いでいるうちに、あの横に細長い楕円形の光はいつの間にか消えて いました。今でも時々大晦日が近くなると思い出すのですが、私の見たアレは一体なんだったのでしょう?