部活帰りに遭遇した女子生徒と鈴の音。
私が通っていた中学校は山に囲まれた場所にありました。
回りは団地があり新築の家がどんどん建っていました。
当時、部活で帰りが6時過ぎで冬は街灯があっても暗い。
バス通りなので車の往来はありますが、人気はありません。
団地下のバス通りをずっと歩く訳ですが、民家はポツポツあるだけです。
その日も部活帰りで、たまたま一人でした。
団地入り口で同級生と別れてバス通りを一人で歩いていました。
300メートルほど行くと民家が3建並んでおり、人が立っていました。
制服姿で女子です。
足元に鞄を置いて、私に背を向けていました。
同じ制服なので先輩だと思いました。
おかっぱ頭のほっそりした人がガードレールの側に立っています。
私は一年生なので顔を見ないように下を向いて足早に通り過ぎました。
よく親に迎えに来てもらう生徒が待っている場所です。
車を待っていると思いました。
しばらくすると後ろから足音と鈴の音が聞こえます。
あれ?さっきの人かな?と思いました。
そのまま歩いているとどんどん鈴の音が迫ってきました。
足音も同じように聞こえます。
歩道ですが、杉の木が立ち並び民家がない場合でした。
その時、私の靴の紐がほどけて結び直そうとしゃがみました。
後ろから人が来ると思い、脇に寄って結びました。
あれ?音がしない。と気がつきました。
鈴の音も足音も聞こえないので、後ろを振り返りました。
誰もいません。
さすがに怖くなりの小走りになりました。
しばらくすると後ろから鈴の音が聞こえます。
嘘でしょう?と私はかなり焦りました。
鈴の音がどんどん迫って来るのです。
怖くて私は走りました。
ちょうど民家の明かりが見えてそこまで逃げるように走りました。
それでも音は迫ってきました。
どうしよう!どうしよう!私は必死に走りました。
その時、バス停が見えて、ちょうど団地行きのバスが上がってきました。
バス停に止まると、人が数人降りました。
必死で走ってその人達とすれ違いました。
思いきって振り向きましたが、降りた人以外、いません。
鈴の音も聞こえなくなり、家まで走って帰りました。
いつもは友達と帰るのですが、その日は風邪で休みでした。
この事は家族以外、話しませんでした。
友達に話して怖がらせてはいけないと思い、秘密にしました。
あの女子生徒は誰だろう?鈴の音はどんな意味があるのだろう?
今もたまに思い出しますが、謎のままです。